現代のシノ笛「みさと笛」について

みさと笛は、現代のシノ笛です。
 
シノ笛は、シノ竹と呼ばれる細めの女竹で作られ、指孔が表側に六つまたは七つ開いています。
祭囃子・神楽・獅子舞など地方の祭りに使われてきた笛は、村の笛方が自作したもので吹奏し伝承してきたものが多く、正確な音階音が出るようにとの考えで作られているのでなく、作りやすい、押さえやすいという理由で指孔を等間隔にそして同じ大きさにして作られています。
これらの笛を、シノ笛の分類上「囃子用とか古典調」などと称しています。笛の音高を表すのに何本調子という言い方をしますが、例えば同じ六本調子といっても作る人によって音高が半音以上異なる場合があります。
 
民謡や長唄、歌舞伎の下座音楽等に使っているシノ笛は、唄に合わせ笛を吹奏することから、これにできるだけ叶うよう作られたシノ笛は「唄用」と分類されます。次に示す「ドレミ調」や「みさと笛」に比べ半音の幅が狭いですが、味わいがあることから上記の演奏等では唄用のシノ笛が依然使われています。
 
最近「ドレミ調」と呼ばれるシノ笛が作られるようになってきました。洋楽の平均律に近い音階となるよう調整されています。したがって洋楽器との合奏も可能になってきました。
 
みさと笛は「ドレミ調」のさらに進化したシノ笛です。平均律に基づく正確な製管、乙音・甲音へ移行する際に自然な音の推移(同じ音質を維持)を可能にするため、裏孔を開けたこと、そして乙音の下(筒音)を移動ド唱法のシにするなど工夫を凝らしたもので、より優れた演奏に寄与するように製管しています。
 
みさと笛の名前の由来ですが、「さと」は里(さと)とか故郷(ふるさと)を連想させ親しみやすく、「み」は美称や語調を整えるために添える接頭語で特に意味はありませんが、奥ゆかしい感じになるようにとの想いで命名しています。